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理系パパの育児学

理系脳の育児学

下痢で脱水?どれ位飲ませる?小児科の脱水基礎知識を解説します。

病気について

困った子供の下痢で脱水が心配

子供が腸炎にかかって血便と下痢が続いていた。妻は夜中に救急に走り、血液検査と診察。「腸炎疑いですね。脱水に気を付けて母乳などを与えてください。」と先生にいわれたが、はっきり言って脱水をどのように気を付ければいいのかが新米のパパママにはわからない。そこで、脱水について一通り調べてみたので是非、子供が下痢した、嘔吐したというときの経口補液による脱水補正の正しい知識をシェアしたい。

勉強した文献

ベビーケアレポート 乳幼児の経口補水療法 最近の知見から(解説)
金子 一成(関西医科大学 小児科学講座)
小児科臨床 (0021-518X)69巻6号 Page1123-1131(2016.06)

小児科医がすすめる医師の診察を必要な状況(下痢嘔吐編)

①6カ月未満または体重8kg未満の乳幼児

②未熟児で出生した乳幼児または先天性疾患や慢性の病気で通院中の乳幼児

③3カ月未満で38℃以上、3カ月から3歳で39℃以上の発熱を認める乳幼児

④肉眼的に血便を認める乳幼児

⑤頻回かつ多量の下痢(1日10回以上)、排出量が多い下痢を呈している乳幼児

⑥半日以上嘔吐が持続している乳幼児

⑦中等度以上の脱水徴候(眼のくぼみ、粘膜の乾燥など)を認める乳幼児

⑧傾眠傾向など神経症状を認める乳幼児

⑨工夫しても経口補水療法をうまくできない乳幼児。

経口補水液はOS-1

WHOは2002年にガイドラインを改訂し、ORSの推奨Na濃度を75mEq/Lに、また推奨浸透圧を245mOsm/Lとしています。市販品でこれに最も近く手に入り易いのは大塚製薬のOS-1です。ポカリスエットなどはNa濃度が低く、ベストではありません。

点滴より子供の脱水の補正に経口補水液が優れている理由

子供では点滴管理はシビアになります。

経静脈輸液(いわゆる点滴)によって水分補給を行う場合には、心不全、腎不全、浮腫などをきたす可能性があり、輸液量や輸液速度は体重や年齢によって調節する必要があります。

経口補水療法は家庭でも安全にできる脱水補正の方法です。

経口補水療法、すなわち腸管からの水分補給では、輸液量や輸液速度に関して細かい調節の必要ありません。つまり、経口補水療法は経静脈輸液と比べて家庭でも安全に脱水症の進行を予防できる方法といえます。乳幼児では、経口補水療法は主に急性胃腸炎による脱水症、および熱中症の予防や治療として行われています。

どういうときに経口補水を始めるのか?

下痢の小児に対する経口補水療法の開始時期急性下痢症(1日3回以上の軟らかい便)を認めたら家庭で経口補水療法を開始します。

便からの水分喪失は下痢だと増えます。

通常便からの水分喪失は5mL/kg/日程度であるが、激しい下痢のさいには200mL/kg/日もの水分を失う。したがって下痢が持続して脱水症が重症化する前に速やかに経口補水療法を始める必要があります。

体重で脱水の程度は評価します。

小児における代表的な脱水症の重症度評価法は病前体重と脱水が疑われたときの体重の減少率(%)からみる方法です。それが5%までであれば軽症、6~9%なら中等症、そして10%以上を重症とします。

経口補水の方法

可及的速やかに少量(50~100mL)の経口補水液を用いて経口補水療法を開始します。経口補水液の与え方は哺乳瓶やコップなど好むものを使えば問題ありません。嘔吐がある場合、1口5mL程度のごく少量から与えます。少ないと思うかもしれませんが、たとえ5mLでも5分ごとに与えれば1時間で60mLになり馬鹿にできません。

水分補給後はすぐにミルクを飲んでもいい

初回の水分補給後は、授乳児なら母乳または通常濃度の人工乳を継続して与え、離乳後の乳幼児であれば年齢相当の通常食を再開し、極力絶食期間を短くすることが重要です。

経口補水療法の併用療法

食餌療法

急性胃腸炎で嘔吐や下痢が見られる時に食事をとることに関しては「嘔吐や下痢のさいの飲食は症状を悪化させるのではないか?」という誤解が多いです。米国小児科学会の推奨案では「脱水が是正されたらすぐに患者の年齢に合った制限なしの食餌を与える。授乳中の乳幼児には母乳を継続し、人工乳の場合は標準濃度(13%)のものを与える」となっています。この理由は短期間の絶食でも赤ちゃんの小腸の微絨毛が萎縮し、症状の長期化や栄養状態の回復遅延の原因となるとのデータが得られているからです。

 

離乳食や普通食の食餌内容に関しては“糖濃度の高いものは浸透圧性下痢を誘発する可能性があるので薦められないが、脂肪は腸管運動抑制といった有益な作用があるため、制限する必要はない”とされています。

 

急性胃腸炎の小児に対する経口補水療法の7原則

・ 経口補水療法は迅速に開始する(下痢または嘔吐発症後3~4時間以内).

・ 脱水是正には経口補水液を使用する.

経口補水液は浸透圧200~250mOsm/kgの低張性のものを用いる.

・ 脱水が是正されたらすぐに年齢に合った非制限の食事を与える.

・ 授乳中の幼児に対しては,母乳を継続して与える.

・ 人工乳の場合,薄める必要はなく,特殊ミルクも通常は不要である.

・下痢で継続的に水分が喪失している場合,その都度経口補水液を追加する. 

最後に

小児の脱水ははっきり言ってむつかしいです。下痢していても家で経過を見てくださいと言われることは多いです。しかし、何が脱水について正しいかを指導してくれる人は少ないように感じます。やはり、下痢は不安ですし、少しでも早く良くなってほしいので脱水をうまく早くコントロールするように心がけましょう。