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理系パパの育児学

理系脳の育児学

離乳食の準備として果汁を飲ませて良い?A.飲ませなくて良い理由を解説します。

離乳食

離乳食にも闇はあるか?

母乳の闇は深かった。食べて良い食べ物、悪い食べ物。薬を飲んで良いか悪いか?など知識のアップデートが止まっている親世代と現役子育て世代の対立。助言が助産師さんにより異なる。救いを求めるためのインターネットはアフィリエイトに汚染され、100円ライターが書いた記事が検索上位に表示され、現場は想像以上に荒れている。そこで丙ブログ「理系パパの育児学」では息子が離乳食になる前に離乳食を極めるため、離乳食の素朴な疑問シリーズをはじめます。

果汁と離乳食

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最初に結論から言います。離乳食の準備として果汁を飲ませる必要は今は無いと考えられています。一部指導者さんの間では、乳汁のみで過ごしてきたあかちゃんに、乳汁以外の味に慣れさせるために、あるいはスプーンから食べられるようにすることを目的として、生後2カ月頃から離乳準備食として果汁を与えることが推奨されている方もいらっしゃいます。

しかし、離乳準備食としての果汁には、栄養学的な重要性はありません。

離乳食準備としての果汁がすすめられてきた理由

なぜ離乳準備食として果汁を与える指導が行われるようになったのでしょうか?実は、 離乳準備食として果汁が与えられるようになったのは、日本で粉ミルクが販売されるようになってからです。

販売当初の粉ミルクの成分は原料の牛乳に近く、鉄分とビタミンCが不足していました。赤ちゃんは、4~5カ月頃になると赤血球の成分のヘモグロビンが成人ヘモグロビンになるため、ヘモグロビンの原料となる鉄分が不足しやすくなります。

お肌の抗酸化で有名なビタミンCは、実は消化管からの鉄の吸収を助ける役目を果たしています。このために、以前は離乳準備食として果汁を与えてビタミンCを補い、鉄欠乏性貧血を未然に防ぐ必要がありました。

粉ミルクは現在はどうなってるのか?

現在では、粉ミルクにもビタミンCが強化されているので、粉ミルクを与えた場合でも、果汁を飲ませる必要はありません。母乳の場合は、ママさんが十分に野菜、果物を摂取し、700~800mL/日以上の母乳を飲ませていれば、乳児はビタミンC欠乏を起こすことはないと考えられています。

母乳の味覚は変化します。

母乳は、ママさんの食べ物によって味が変化します。また、1回の授乳中でも、最初に分泌される前乳は蛋白質・脂肪は少なく乳糖が多く、乳児の食欲を誘います。途中で分泌される中乳は蛋白質が増加し、乳糖が減少します。後半に分泌される後乳は脂肪分が増加し、乳児に満腹感を与えます。このため、赤ちゃんは母乳を飲むことによっていろいろな味を味わうことができます。

つまり、母乳自体が離乳準備食の役目を果たしているため、果汁を飲ませる必要はありません。

早く甘味を知ることはデメリットも

果汁を与えることのデメリットも指摘されています。乳児期早期に甘い果汁を与えることにより甘い物に慣れ、母乳やミルクを飲まなくなってしまう可能性があると指摘されています。果汁に含まれている糖分は11%で、母乳の糖分は2%で約5倍です。このように果汁には糖分が非常に多く含まれています。このため、赤ちゃんが甘い物に慣れてしまい、母乳を飲まなくなる可能性があります。

消化吸収にも母乳のほうが有利

人間の小腸は、2%の糖分を含んだ食物が最も吸収がよく、それ以上の糖分は吸収されずに大腸に運ばれ、多くの細菌に分解され、ガスを発生したり、腸の蠕動運動を亢進させ、下痢の原因になるります。

スプーンで果汁を与えるのは反射で嫌がっていると思われがちです。

赤ちゃんはは、生後2カ月頃まで、形のある物が口の中に入ると、舌で反射的に押し出してしまう提舌反射というものがあります。これは、生後3~4カ月頃まで続きます。早期にスプーンで果汁を与えると、反射的にスプーンを拒否することがあります。このために、ママさんは、乳児が果汁の味を嫌がって飲まないと判断し、戸惑い悩んでしまうことがあります。スプーンで食べさせるのは、離乳食が始まってからでも十分間に合います。

まとめ

現在では離乳食を始める前に、果汁が必要である根拠は何もありません。ただ、離乳準備食としての果汁は、慣習として残っているだけです。逆に、離乳食を進めていくうえで、マイナスに作用する可能性もります。果汁を与えすぎると乳汁を飲まなくなり、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラルの不足を招くことが報告されています。

アメリカ小児科学会では1997年に、「一般的には母乳栄 養児には最初の6カ月間は水、果汁、その他の飲み物は必要ない」と述べ、2001年に「生後6カ月までは果汁を与えてはならない」という勧告を出しています。日本でも、母子手帳の離乳の項目から離乳準備食を説明している「その前に薄めた果汁やスープをあげて、お乳以外の味に慣らせます」という文面が削除されました。

離乳準備食を与えなくとも、乳児には5~6カ月頃から捕食、咀嚼、嚥下の基本的な摂食機能が備わり、食べ物や母親の食事姿に興味を示し始めます。これが、赤ちゃんにとっての離乳準備を開始するタイミングだと考えられています。

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