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理系パパの育児学

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アトピーは遺伝する?最新の皮膚科の見解を説明します。

アトピーはアレルギー?

アトピー性皮膚炎が遺伝しちゃう!という内容のツイートが気になりました。僕自身もアトピーとはいかないまでも花粉症持ちですし、頭の乾燥でフケがやばいです。確かに、遺伝するということをいう人が多いのですが本当に遺伝するのか?それとも、遺伝しないのか?今、アトピー性皮膚炎はどのように医学では考えられているのか?気になったので調べてみました。

そもそもアトピー性皮膚炎ってどんな病気?

アトピー性皮膚炎は、アトピー性皮膚炎の診断基準によると

  • 湿疹を主病変とする疾患
  • ドライスキン
  • アトピー素因
    アトピー疾患(皮膚炎、鼻炎、喘息、結膜炎)の家族歴または既往歴がある場合、またはIgEが高値である場合に、アトピー素因ありと判断する
  • 左右対称性で、顔面・頸部・肘窩・膝窩などに好発
  • 乳児では2カ月以上、1歳以上の患者では6カ月以上、皮疹を反復する

ことが診断に必要と記載されています。

バリア機能異常としてのアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の患者は、気管支喘息やアレルギー性鼻炎といった他のアレルギー疾患を続発しやすく、そのことをアトピーマーチ(またはアレルギーマーチ)と呼ばれています。

アトピー性皮膚炎の原因は長い間不明で、免疫異常が皮膚バリア異常に先行するのか、はたまたその逆であるのかについてすら、十分な結論は得られていませんでした。

しかし、2006年にスコットランドのMcLeanらは「アトピー性皮膚炎の多くは皮膚バリア異常を基盤として発症する」という、アトピー研究史に残る重要な知見を発表しました。それ以後、多くの皮膚科医からアトピー性皮膚炎は「バリア病」として認知されることになりました。

 バリア機能異常の原因フィラグリンとは?

フィラグリンは、角化の最終段階で表皮の細胞が発現し始めるタンパク質で、角質の形成に重要な役割を果たします。また、フィラグリンは酵素により分解され、その分解産物は保水力が高く皮膚の保湿に重要な働きをする(天然保湿因子と呼ばれる)ほか、紫外線防御にも関与しています。

このフィラグリン遺伝子はし、近年の研究により、日本人と英国人の約10%は、遺伝子変異によりフィラグリンを正常の50%しか発現していないため、ドライスキンになりやすく、角質形成不全により皮膚バリア機能が低下している状態になっていることがわかりました。

そして、このフィラグリン遺伝子変異がアトピー性皮膚炎の重要な発症因子であることがわかっています。フィラグリン遺伝子変異を持つ患者は、変異を持たない患者と比して、有意に高い確率でアトピーマーチに移行しやすいことが研究報告されています。

フィラグリン遺伝子変異を持つ患者の皮膚は、種々の抗原に易感作性であり(アレルギー反応を起こしやすいということです。)、それら感作抗原を吸入することで気管支喘息やアレルギー性鼻炎を発症するものと推測されています。

これらの結果は、全身性アレルギー疾患の発症に皮膚バリア機能障害に伴う経皮感作が関与している可能性を強く示唆しており、乳幼児期の皮膚バリア機能の是正がアトピー疾患発症の予防に役立つ可能性をしめしています。子供のスキンケア保湿が大事といろんな先生が言うのはこういう理由もあると思います。

フィラグリン遺伝子が原因となるアトピー性皮膚炎の特徴

フィラグリン遺伝子変異保有患者と非保有患者の間には臨床症状の違いが報告されてい
る。

フィラグリン遺伝子変異をもつ患者では、変異をもたない患者と比べて
①2歳未満での発症が多いこと

②他のアレルギー疾患を合併しやすい

③成人型アトピーへの移行が多い

ことなどが分かっています。

遺伝だけではアトピーは起こらない

フィラグリン遺伝子変異が見つかる以前から、両親のいずれかまたは両方がアトピー性皮膚炎であると、その子どもがアトピー性皮膚炎を発症する可能性が高いことが知られていました。

しかし、一卵性双生児であってもその片方しかアトピー性皮膚炎を発症しないこともあり、フィラグリンだけで説明できないことも多々残っています。

近年、先進国を中心にアトピー性疾患の罹患率が増加しており、遺伝因子以外に環境因子もアトピー性皮膚炎の発症に重要だと考えられています。

アトピー性皮膚炎の発症因子として、

  • 環境化学物質(フタル酸エステルなど)
  • 外来性のプロテアーゼを産生するチリダニ
  • 黄色ブドウ球菌
  • アルカリ石鹸の使用
    (角質には多数のタンパク分解酵素が存在し、それらが過剰に作用しないよう弱酸性に保たれているが、アルカリ石鹸を使用すると角質pHが上昇する)
  • 住宅性能の向上による気密化や断熱化による室内環境の変化(低湿度の住環境)
  • 乳児期のネコへの曝露

などが、これまで報告されています。

アトピー性皮膚炎を発症させやすい環境因子については現時点ではわからないことが多いですが、これが明らかになればアトピー疾患の予防に結びつく可能性があり、今後の研究の発展が期待されています。

ひっかくことは良くない

アトピー性皮膚炎患者は強い搔痒により皮膚の搔破を繰り返し、物理的にも皮膚バリア機能が低下することが多いです。この傷からアレルゲン物質が入り込み、経皮的に感作され、気管支喘息やアレルギー性鼻炎を発症する可能性があります。アトピーマーチにおいて、アトピー性皮膚炎が気管支喘息やアレルギー性鼻炎に先行することが多いのは、経皮感作がアトピーの原因の一つとなっているからと考えられています。

まとめ

アトピーが遺伝することは間違いないようですが、大きな原因であるフィラグリン遺伝子の変異は報告によると10%-20%となっており、残り80%は不明のままです。ただ、皮膚をひっかくこと、傷つけることが発病の原因になる可能性があるのでスキンケアをしっかりしていこうと思いました。