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理系パパの育児学

理系脳の育児学

アトピーと汗の関係は?あせものスキンケアまでご紹介

冬だけど子供があせもっぽい?

冬だけど子供のひじ関節の部分が少し赤い、服を着せすぎているのか?それとも、お風呂の洗い方が足りないのか?

実は汗は皮膚のバリア機能に関係しています。

表皮の表面を覆う皮脂と汗が均等に混ざりあうことで形成される皮脂膜と角質層はバリアの第一線の防御壁であり、体内からの水分蒸発を防ぐことで乾燥環境から身を守るほか、抗菌と同時に正常微生物叢形成を促す役割をもつ。

汗の隠された機能

皮脂膜以外に汗は、 

  • 体温調節作用
  • 保湿効果
  • 感染防御効果

 といった機能があります。

エックリン汗腺

エックリン汗腺はほぼ全身に分布し、その数は個人差があり1個体あたり200~500万個といわれています。エックリン汗腺は生後に新生することはないため、エックリン汗腺の密度は体表面積の影響を強くうける。つまり、エックリン汗腺の密度は、乳児では成人の7倍以上にもなります。

そのため、子供は大人に比べてあせもになりやすいと考えられています。

実は働いている汗腺と働いていない汗腺がある?

すべての汗腺が汗分泌能力を有するわけでは実はありません。能力を有する能動汗腺と能力を有さない不能汗腺に分かれます。

エックリン汗腺の能動化は胎生第28週に始まり、生後2年半で完了します。能動化の割合はこの期間の温度環境の影響を受けることが分かっています。

つまり、寒冷地で出生すると能動化の割合が少なく、熱帯地方で出生すると多くなります。

ちなみに、環境の変化が発汗に与える影響に関しては統一した見解はありません。

エックリン汗腺の部位別特徴

エックリン汗腺の分布は均一ではなく、手掌・足底は最も密度が高く、体幹・四肢は比較的低いです。一方、汗腺の発汗能も部位によって異なり、

  • 手掌・足底では汗腺密度の高い反面、腺体は小さく分泌能は低い。
  • 体幹の密度は低いものの単一汗腺あたりの分泌能力が高い。
  • 四肢の関節の屈側面など水分の蒸散しにくい場所は発汗量が少ない。

ことが分かっています。

夏、サウナなどで出る汗は、普段の汗と違います。

夏やサウナなどで出る大量に出る汗の組成は、不汗蒸泄の汗と多少異なり、多量の塩分を含みます

このことから

  • 大量にかいた汗は速やかに洗い流す
  • 汗を含む衣類を着替える

ことが皮膚への刺激や皮膚の細菌叢の変調を防ぐために重要です。

汗とアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の悪化因子として、食物抗原、汗、乾燥、掻破、物理化学的刺激、ダニ、ほこり、ペット、細菌・真菌などの感染、ストレスなどが有名です。しかし、実はアトピー性皮膚炎の主要な悪化因子は、年齢が進むにつれかわっていきます。

  • 小児期 食物抗原や乾燥、掻破など
  • 青年~成人期 ストレスや物理化学的刺激など
  • 全年齢 

汗でアトピーが悪化するのは何故か?

汗による悪化誘因のメカニズムは

  1. 汗そのもので悪化
  2. 汗の成分の異常
  3. 発汗の異常低下

の大きく3つに分けられます。

最近は汗自体が悪化因子という考え方はやや古くなっています。

汗アレルギーの存在を示唆する報告で患者由来の好塩基球が、健常人汗から抽出された半精製抗原に対するヒスタミン遊離試験で陽性反応を示すというものがあります。最近、この反応は汗へ混入した皮膚の常在真菌マラセチアに由来する抗原に対する反応であるという報告があります。この結果は汗そのものが悪化因子ではないと考える人も専門家には増えています。

簡単にまとめますと

汗というより、汗により増殖する皮膚の常在菌のアレルギー

という考え方です。

汗の成分が健常者と異なる?

アトピー性皮膚炎患者では、汗中の抗菌ペプチド含有量が減少していると報告されています。このことから、アトピー性皮膚炎の人は、汗のもつ自然免疫能が発揮されないことが推測されています。

また、多くの報告がアトピー性皮膚炎で確認される発汗の異常な低下を指摘しています。

アトピーの発汗低下の理由として、

  1. 汗はつくられているが閉塞によって皮膚表面に排出されない
  2. 汗そのものの産生および分泌に異常が生じている

などが知られています。

アレルギーが発汗を抑制する??

アレルギー炎症が発汗を抑制するメカニズムにヒスタミンが関与することが分かっています。ヒスタミンは、汗腺分泌細胞のグリコーゲン合成酵素活性に影響し、汗腺細胞からの汗の分泌を阻害します。このヒスタミンによる汗分泌阻害作用はH1受容体を介しており、アレグラなど抗ヒスタミン薬はヒスタミンの関与する乏汗を改善する効果が期待できます。

具体的なスキンケアの方法

汗はアトピー性皮膚炎にとっていい面と悪い面があります。つまり、結論は汗はかいていいですが、その分ケアを十分しましょうということになります。

保湿

汗をかくと角質の水分量が健常のヒトでは増加します。しかし、アトピー性皮膚炎では、発汗と角質の水分量が比例しないことが分かっています。これは、アトピー性皮膚炎の人の角質の機能異常により起こると考えられています。

そのために

  • 角質のバリア機能を改善する目的
  • 発汗の抑制をしている角質の栓

をとる目的で保湿が重要です。

汗をすぐに拭く

汗には塩分が多く含まれます。乾いたタオルで拭く、ママさんが多いですがジュースをこぼした床を乾いた布だけで拭いてもべたつきは残りますよね?それと同じでぬれたタオルで拭くことが大事です。タオルを濡らすのが大変なら、幼児であればご自宅にある水99%のおしりふきシートで拭いても全く問題ありません。

勉強した論文

【いまどうなっている?アトピー性皮膚炎】 発汗とアレルギー、そのスキンケア(解説/特集)
室田 浩之(大阪大学 大学院医学系研究科情報統合医学講座皮膚科学), 松井 佐紀, 木嶋 晶子, 片山 一朗
Source: Mebio (0910-0474)32巻4号 Page65-69(2015.04)