読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

理系パパの育児学

理系脳の育児学

赤ちゃんの咳が長引くのはなぜ?8週間は風邪でも続くことがあります。

赤ちゃんの咳が長引くのはなぜ?8週間は風邪でも続くことがあります。

Twitterのフォロワーさんからの質問をいただきました。簡潔にまとめると

  • 風邪を引いたあとその咳が長引いている。
  • 小児科の先生には赤ちゃんにはよくあること

と言われたようです。しかし、よくあることだと言われても、咳で苦しんでいる子供を毎日見ていると心が痛むのは非常にわかります。子供に多い気管支喘息も気になってきます。そこで、今回は何故咳が長引くのか?様子を見てくださいと言われてどれくらいの期間まで様子を見ればいいのか?などの疑問について勉強したのでまとめておきます。

咳は期間で名前が変わる

日本呼吸器学会が発表している「咳嗽に関するガイドライン」では咳は3種類に分類されています。

  • 急性咳嗽 3週間以内の咳
  • 遷延性咳嗽 3週間以上続く咳 (特異的咳嗽と非特異的咳嗽に分けられる)
  • 慢性咳嗽 8週間以上続きかつX線検査など検査で原因不明なもの

赤ちゃんの咳は長引く?

フォロワーさんのお子さんも咳が長引いているので心配されていますが、なぜ赤ちゃんの咳は長引くことが多いのでしょうか?それは、赤ちゃんは呼吸器系ウイルス感染症にかかる頻度が成人と比較して各段に多く、軽症の呼吸器感染症を反復している可能性があります。そのため、良くなったり、悪くなったりしながら咳が長引くことがあります。

なぜ小児科の先生は薬や検査をしてくれないのか?

赤ちゃんの咳は、感染症の反復をしていることがほとんどです。その大多数以外を見逃すことは医師としてしてはいけないことですが、急いで抗生剤、胸部CT検査、気管支ぜんそく治療などをやっても無駄なことが多いです。(ウイルス感染症は抗生剤は効きません)そのため、咳の程度が軽く、睡眠や哺乳量などを総合的に判断して「待ち」と考えられている可能性が高いです。つまり、小児科の先生は、お子さんの症状を見て「かぜ」の範疇を超えていないと考えられいると予想します。

咳はなぜ出る?

咳がなぜ出るのかということを突き詰めると

  1. 刺激因子(物理的刺激、化学的刺激)
  2. 咳受容体の感受性の亢進

上気道には物理的刺激に敏感な咳受容体が多く分布しており、下気道には化学的刺激に敏感な受容体が多く分布しています。

  • 物理的刺激 
    鼻汁や喀疾などの分泌物、気道内の腫瘍、腫瘤や異物、気道外からの圧迫、気管支平滑筋の収縮や粘膜の浮腫など
  • 化学的刺激
    細菌やウイルスによる毒素や炎症性物質、タバコの煙や排気ガスなどの外因性の刺激,胃食道逆流症における胃酸,アレルギー反応に関連したヒスタミン

咳受容体の感受性亢進は、先天的な素因や後天的な感染やアレルギーによる気道炎症によりひきおこされると考えられています。

特異的咳嗽と非特異的咳嗽

遷延性咳嗽には心不全や免疫不全などの基礎疾患に伴う特異的咳嗽とそのような基礎疾患を伴わない(全身検査しても何も見つからない)非特異的咳嗽の2種類に分けられます。子供の場合は圧倒的に非特異性咳嗽のほうが割合が高いです。

子供では、非特異性咳嗽の原因の大部分はウイルス性気道感染後に遷延する咳嗽、百日咳、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジアなど咳が遷延しやすい感染症のことが多く、これれは待ちの診療で自然に軽快していきます。

喘息にも注意が必要ですが、診断は難しい

気管支喘息の急性増悪は、乳幼児では大部分(約80%)が急性ウイルス感染が原因で起きます。咳喘息(CVA:cough variant asthma)という概念の普及に伴い、ウイルス感染の反復によるwheezeのない遷延性咳嗽が喘息と診断されることもあります。しかし、この病気は診断が難しく、安易に診断をつけるとこの子が喘息患者として生きていくことになりますので、診断する側も気を遣う病気です。

 まとめ 咳が出たらこう対応しよう

  • 小児科を受診し先生に診てもらう
  • 3週間から8週間と長引いても改善することが多い
  • 途中で高熱がでたり、唇が紫になるようなことがあれば小児科にすぐいく
  • 睡眠、ミルクの量、機嫌なども状態を判断する根拠になります。
  • 8週間以上改善しない場合は、アレルギー検査をする可能性が高くなります。

勉強した論文

【乳児の喘鳴、小児の長びく咳】 III)小児の遷延性咳嗽 小児の遷延性咳嗽:診断の進めかた(解説/特集)
高瀬 真人(日本医科大学多摩永山病院 小児科)
小児科診療 69巻10号 Page1473-1478