読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

理系パパの育児学

理系脳の育児学

赤ちゃんとにおいの驚くべき関係

花粉症で鼻が詰まっています。鼻詰まりのせいで食事が楽しくありません。

今回は、この嗅覚が生後いつくらいから発達してきて、どのような働きを赤ちゃんにとってしているのかについて面白い論文を見つけたので紹介します。

新生児ににおいをかがせるとどうなるの?

実は、以前の新生児学の世界ではにおいという感覚は重要視されていませんでした。しかし、最近は哺乳動物が、最初に乳房の位置を認識するために非常に重要な感覚だと考えられるようになってきました。近赤外線を用いて、赤ちゃんににおいを嗅がせた時の脳血流の変化をみた研究では生後7時間の赤ちゃんでもバニラや初乳のにおいによって前頭葉眼窩面皮質という部分の血流が増加することが分かっています。

生後すぐ母乳を与える意味とは?

赤ちゃんは母乳、ママさんのにおいを好みます。生後1時間は赤ちゃんの中でカテコラミンが非常に高く、その時ににおいが記憶されると考えられています。そのため、生後1時間がにおいの記憶に非常に重要だと考えられています。

赤ちゃんに母乳においを嗅がせるとどうなる?

生後2日目の赤ちゃんに初乳、人工乳、蒸留水、みかんのしぼり汁のにおいをかいでもらってmouthing(口をもぐもぐさせたり、乳首をすうような動作をすること)する動作の回数を調べた研究があります。その結果では母乳が10回で人工乳が5回、ミカンが2回、蒸留水が0回という結果でした。

泣いている赤ちゃんにガウンを着せる研究

泣いている赤ちゃんに母親のガウン、清潔なガウンのにおいを嗅がせると母親のガウンで泣き止むことが報告されています。さらに、起きている赤ちゃんにガウンのにおいを嗅がせたところmouthingが持続していたことから、ママさんのにおいを嗅ぐことは、おっぱいを飲む前の準備行動の一つとして大事なことだと考えられています。

産まれる前から始まる嗅覚経験

赤ちゃんの嗅覚経験は子宮内の羊水から始まります。そのため、出産後も羊水のにおいを赤ちゃんは好みます。このため、赤ちゃんが産まれた直後にママさんに抱っこされるのは自分の体についている羊水を乳房につけるのは非常に大切で子宮内の世界から外の世界への急激な変化に適応していく手助けをしていると考えられています。この記憶は、生後2か月くらいまで続くと言われ、ママさんのにおいをしみこませたガーゼを枕元に置くと赤ちゃんが落ち着くこともわかっています。

乳房のにおい

赤ちゃんは授乳している女性が産生する乳房のにおいを好みます。実は、乳輪と乳頭にはアポクリン汗腺という組織があり、そこから分泌されるにおい分子が体温で温められて広がり、赤ちゃんに乳房はここだよ!と教えます。乳房をきれいに拭いたら、その匂いが分からなくなってしまうため、拭いている乳房と拭いていない乳房どちらを赤ちゃんが選ぶかという研究では赤ちゃんは拭いていないほうの乳房を選ぶということが分かっています。

飲まない赤ちゃんにはにおいをあげる前に嗅がせてみましょう

授乳前におっぱいのにおいを嗅がせると哺乳力が上がるという研究結果がありますのでおっぱいの飲みが悪いというときは少し母乳を出してにおいを嗅がせてあげてから授乳するといいと思います。

まとめ

今回においについて勉強しました。においは哺乳行動に重要な役割を果たしていますが、授乳前に乳頭をきれいに拭いたりするとその匂いを生かしきれないこともわかりました。においをうまく使ってさらに赤ちゃんとうまくコミュニケーションをとれるようになるよういろいろ工夫してみようと個人的には思いました。

勉強した論文

新生児のにおいの識別の検討(解説)
水野 克巳(千葉県こども病院)
チャイルド ヘルス 5巻4号 Page302-304